ilka(いるか)-通りすがりの善意-

PMSが年々ひどくなり、月に一週間は世界を呪うようになっている。先月も、息も絶え絶えPMS対策をググったら「いるか」というアプリが見つかった。

twitterのようなUIだが、ユーザ名もなければフォロー/フォロワー関係もない、完全匿名のSNSだそうだ。だから気兼ねなく発言できると。そんな説明を読んでちょっとダウンロードをやめそうになった。それほんまにSNSなん、と。

しかし「通りすがり」程度のつながりは担保してあって、これがかなりよかった。

こんな感じのタイムライン。

誰のものか分からない発言が、時系列に関わらず流れてくるのだが、それこそすれ違いざまに聞こえた呟きのように、次にリロードした時にはもう消えてしまっている(リロードするたびにタイムラインは一新されてしまう)。

だから、見かけて共感したら、その瞬間に「応援」か「共感」を送る。twitterと違って、一人頭いくつでも送れるらしい。めっちゃ頑張れ!!!!と思ったなら、10応援くらい送れる。

こんな感じ。

駅の構内や道端で、見知らぬ誰かに手を貸した時、貸した自分の心が癒される感覚がある。あれと同じで、見知らぬ誰かの悩みや苦しみに無言のエールを送っただけで、自分の心のどこかが癒されている。

逆もまた然りで、顔も分からない、縁もゆかりもない誰かから「分かるよ」「頑張れ」とエールを送られるのは、階段で転んだ時に優しい誰かに助け起こしてもらえた時のような、無償の善意を感じられるのだ。

本当なら、悩みや苦しみは現実の友達なんかに打ち明けて聞いてもらうのが一番なんだろう。しかしそれは、時にとてもむずかしい。

相手の事情や都合を考えると、不調を伝えることさえ気がひける。あまりにプライベートで打ち明けづらいこともある。心が沈みすぎると、励ましをもらっても「友達という関係上、慰めざるを得なくて言ってるのかな…」と言う気持ちになってしまう(これは私の性格が歪んでいるからだろうか)。

ilkaは、そんな片付けようのないモヤモヤを少しだけ癒してくれる、絶妙なツールだった。